2007年9月2日日曜日

年金記録問題 : NTTデータの存在

レガシーシステムで、特に、社保庁システムでNTTデータをITゼネコンとして問題視したのは、若手の自民党の議員でした。
「選択」 2003年5月号 NTTデータ ――「電子政府たかり」に鉄槌――
電子政府予算の無駄遣いに政府・自民党がメスを入れ始め、NTTデータの「たかり」モデルが崩壊に瀕している
http://www.sentaku.co.jp/top/200305/zenbun.htm
とあるように、2003年には、問題視されたが、それに対する政府の指針は、「刷新」という既存ありきという現状肯定での路線で、ITゼネコンが延命されてきたのです。

社保庁の場合には、第9回社会保険オンラインシステム刷新可能性調査
専門家会議(2005年2月21日)での調査受託した(株)IBMビジネスコンサルティングサービス社会保険オンラインシステム刷新可能性調査 報告書骨子(案)
http://www.sia.go.jp/mhlw/shingi/2005/02/houkokuan.pdf
のⅢ-2。運用コストの課題、Ⅲ-3 ソフトウェアの著作権に関わる課題の内容がITゼネコンの悪弊を遠慮がちに記述しています。
運用コストの部分では、平成15年度の運用コストが1108億で、ソフトウェア使用料が25%弱の246億という金額は、一体、どのようなソフトであったか常識を逸脱した内容です。
著作権の課題として、外部業者に著作権を握られ、予算と実績の差額の残債の存在を問題視しています。
有識者会議でも、基礎年金番号が複数存在の問題、CIO不在の問題は話題になっていましたが、年金記録問題が顕在化するまで、厚生省、内閣府の有識者会議、社保庁、ITゼネコン(NTTデータら)が刷新という名前でソフトランデイングをしてきたと推察しています。

基礎年金番号の移行時に、約3億件の宙にういたデータが発生し、その後、受給申請で突合(突合・・・・情報システム分野で死語?、照合?消しこみ?が語句ではないかな?社保庁では、業務でも一部使用しており、旧態の体質です)作業で、現在まで5000万年金データが残存していること事態は明らかに、システムに関わったITゼネコンの責任が大です。

初期のコード体系など不統一で、コンピュータ導入現場は混乱したと想像できますが、その後の基礎年金番号導入の移行は、複数の管理体系を一元化することであり、予想される問題は、システム側で充分に配慮し、クリーンデータ化作業は、現場とシステム側の共同責任の部分があります。
まずは、移行時に3億件アンマッチデータが発生した事態、システム側の仕様上の問題(システム設計ミス)であり、今までアンマッチデータ(宙に浮いたデータ)が存在することは工程管理の問題(運用設計ミス)といわざる得ないと思っています。
移行データのクリーンデータ化作業を社保庁の現場に押し付け、契約条項を盾としてシステム側が涼しい顔をしているのは、ITゼネコンのエゴしか思えないのです。
明らかにシステム&運用設計ミスであり、毎年、百億円単位のシステム使用料を受領し、更に残債(債権)があること事態は、ITゼネコンと社保庁との組織的な癒着の証と思っています。
労働組合の現場の次元問題ではないのです。

その後、ITゼネコンについては、社会年金記録システムの問題が顕在化し、最近になり、
「年金システム、NTTデータとの取引見直し検討・厚労相表明 」
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070628AT3S2801K28062007.html#topnews
とありますが、今まで、発注仕様と成果物(納入品)の会計検査はどうなっていたのか?
疑問を生じます。

政府は、社保庁問題が顕在化してから、年金記録検証委員会を総務省に設置・活動されていますが、問題が顕在化してから、ボーナスの返上で過去の責任を曖昧にし、「問題解決が先決で、今後が肝要」という姿勢は、余りにも中途半端でしたが、参議選挙で大敗し、桝添厚労相に解決を委ねたことになります。

年金記録問題は、突合の件数&内容だけの問題ではなく、官公庁システム分野を大手情報システム大企業が自分等の治外法権の分野にしてきたことが、検証委員会で検証されることを期待するしかありませんが、経団連が、無償でSEを提供するなど、パワーゲームになっていますね。

検証委員会は、今後は、過去の発注(入札)仕様書と成果物(納入品)のドキュメント類を入手し、公開すべきです。
業者と社保庁との関係、それの検収の解明を期待するしかないですが、社保庁から他の官公庁システムに飛び火する可能性が秘めているから、非公開に当初からしたのでしょうね。パワーゲームですので。

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