2008年1月23日水曜日

文芸春秋:「日本版サブプライム破綻の日」の記事を読んで

文芸春秋 2008年第2号 荻原博子氏(経済ジャーナリスト)の「日本版サブプライム破綻の日」・・・住宅バブル期の「低金利ローン地獄」が爆発。 戦犯は誰だ?・・・・の記事を読み、成る程ナアーという感想を持ちました。

記事の内容は、10年前の1998年に、当時の住宅金融公庫が借りられる年収基準を下げ、史上最低と言われる金利2%の住宅ローンで貸し出し。このような一連の基準緩和や住宅ローン控除(減税)で銀行が融資しなかった信用力の低い人達が、住宅金融公庫で住宅ローンを組んで家を購買。
この住宅金融公庫の基準緩和は、当初こそは2%の低金利であるが、10年後には2倍の4%に引きあがられる。10年後が今年の2008年である。

国税庁の民間給与実態統計調査では、1998年のサラリーマンの平均給与は464万8000円、ところが、2006年には434万9000円と減収となっている。
この間に、配偶者控除の上乗せ分が廃止、老年者控除が廃止され、各種保険料の控除が廃止され、2007年からは定率減税も全廃となり、税負担は増える一方。
しかも、厚生年金や国民年金の保険料負担は、毎年あがることが決定された。

現実に、旧住宅金融公庫での破綻金額は、2002年 1131億、2003年 1463億、2004年 1888億、2005年 2641億、2006年 2647億と増加傾向にある。

給料が上がらず、増税傾向で、金利2%でローンを借りた人の返済額が1.2倍にUPする今年、破綻者が増大するという警告です。
更に、問題視をしているは、日本版サブプライムローンを始めようとする金融機関・・・(株)ゆうちょ銀行の動向です。
アメリカのサブプライム住宅ローン問題は、住宅ローンのブローカーの存在が大きく、ブローカーはローンを借りたい人を探し、銀行に紹介し、手数料を稼ぐ商売で、銀行側は証券化の手法でローンを債権とし販売し、破綻リスクを債権を購買した人間に付回せるしくみで、ゆうちょ銀行が将来への延命には、住宅ローンをも手掛ける可能性があり、それは、アメリカのサブプライム問題でのブローカーと同質と提起しています。
それが、日本版サブプライム破綻という論理展開です。

日本の企業社会は、「終身雇用・年功賃金」で支えられ、企業に就職すれば定年まで雇用は保証され、給与は右肩あがりの環境下であれば、長期返済の住宅ローンも成立したが、経済環境が変容したことにより従来の住宅ローンの前提が崩壊した現在、今年は住宅ローンの焦げ付きが続発する可能性が高いと予想され、更に、民業との生存競争で、ゆうちょ銀行が、住宅ローンの手数料稼ぎのブローカー(仲介業務)から将来、直接手掛けることは日本版サブプライム問題を発生させることになり、ゆうちょ銀行は住宅ローンには手を出すべきでないということです。

当方は、現在の郵政民営化については、民間に受け皿があるのに、何ら新しい社会システム・サービスを創出せず、官から民への謳い文句で、民営化にしただけで、現実は官が民になっただけであり、郵政民営化反対の意見者です。荻原氏の記事を読み、更に郵政民営化の矛盾を感じた次第です。
記事では、既成緩和の弊害に、建築基準法をも取り上げていました。
何でも、既成緩和は正論ではないですね。

荻原氏の記事は、全体的な観点での論調であり、一読の価値はあると思いましたね。

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